データの保存場所はなぜ重要?国内・海外サーバーの違いを考える
国内か海外かだけでなく、誰がどのルールと技術でデータを守るかまで確認しましょう。
クラウドへ預けた写真や動画は、実際には世界のどこかにあるデータセンターの設備へ保存されます。そのため、データの保存場所はサービス選びの重要な材料です。
ただし、「国内サーバーなら安全、海外サーバーなら危険」とは限りません。保存国に加えて、誰が管理するか、どの法制度や契約が関係するか、どのような技術で守られるかを確認する必要があります。
クラウドにも物理的な保存場所がある
クラウドという名称でも、データが場所のない空間に浮かんでいるわけではありません。写真や動画は、データセンターに置かれたサーバーやストレージ装置へ保存されます。
一般に、国内サーバーとは日本国内の設備へ保存する構成、海外サーバーとは日本以外の設備へ保存する構成です。クラウド事業者が設備を配置する地理的な地域は「リージョン」と呼ばれることがあります。
メインのファイル、バックアップ、サムネイル、データベース、ログが同じ国にあるとは限りません。「国内サーバー」という説明だけで、すべてのデータが国内に限定されると判断しないことが大切です。
保存場所が重要な理由
関係する法制度が異なる
国によって、個人情報の保護、政府機関による情報取得、国外移転などの制度が異なります。個人情報保護委員会の通則ガイドラインは、事業者が外国で個人データを取り扱う場合、その国の制度などを把握したうえで、必要かつ適切な安全管理措置を講じる必要があると説明しています。
個人が自分の写真を保存する場合と、企業が顧客の個人データを管理する場合では法的な立場が異なります。特に企業は、法令、業界ルール、契約、社内規程も確認する必要があります。
通信速度や遅延に影響する場合がある
一般に、利用者とサーバーの距離が短ければ遅延を小さくしやすくなります。ただし、実際の速度は回線、通信経路、CDN、設備性能、混雑、ファイルサイズにも左右されます。国内なら必ず速い、海外なら必ず遅いという関係ではありません。
災害や障害への備えが変わる
同じ地域に本データとバックアップを集中させると、大規模災害や広域障害の影響を同時に受ける可能性があります。地理的に離れた複数拠点へ保存すれば、一つの拠点で障害が起きた場合に復旧しやすくなります。
デジタル庁も、国内の複数データセンターへシステムとデータを分散することで、大規模災害時の停止やデータ紛失の可能性を下げられると説明しています。国内でも東日本と西日本などへ地域分散できます。
国内サーバーの特徴
- 日本の利用者が保存国を理解しやすい
- 海外の制度を考慮する場面を減らしやすい
- 日本からの通信遅延を抑えやすい場合がある
- 国内保存を求める契約や社内規程に対応しやすい
一方、国内の一拠点へ集中すれば広域障害への備えが弱くなることがあります。また、国内のデータセンターを使っていても、運営会社や委託先が外国にある場合があります。
個人情報保護委員会のFAQには、外国事業者のクラウドを利用し、サーバーが日本国内にある場合でも、事業者が所在する外国の制度などを把握する必要があるケースが示されています。サーバー所在地と事業者所在地は分けて確認します。
海外サーバーの特徴
- 世界規模のインフラや機能を利用しやすい
- 離れた地域へ災害対策用コピーを置ける
- 海外の利用者にも高速に配信しやすい
- 用途に合うリージョンを選べる場合がある
一方で、保存先や事業者が所在する国の制度、国外移転の条件、問い合わせ先、削除時の扱いなど、確認項目が増える場合があります。
海外にあるという事実だけでセキュリティが低いとは判断できません。暗号化、アクセス制御、認証、監視、脆弱性管理、バックアップ、物理的対策によって実際の安全性は変わります。
サーバーが国内なら日本の制度だけ見ればよい?
必ずしもそうではありません。日本企業と外国企業、国内サーバーと海外サーバーには複数の組み合わせがあります。さらに、契約主体、再委託先、バックアップ先、サポート担当者がデータを扱う国も異なる可能性があります。
「日本語のサービスだから国内保存」と推測せず、公式情報を確認しましょう。
暗号化されていれば保存国は関係ない?
暗号化は重要ですが、保存国の検討を不要にするものではありません。通信中の暗号化はスマホとサービス間の盗み見を防ぎやすくし、保存時の暗号化はストレージ上のデータを保護します。
ただし、鍵を誰が管理するか、運営者が復号できるか、アカウント情報やログなども保護されるかによって意味が変わります。エンドツーエンド暗号化でも、暗号化されたデータやアカウント情報に関係する法律・契約がなくなるわけではありません。保存場所と暗号化方式は別々に確認します。
保存場所を調べる方法
公式サイトのプライバシーポリシー、利用規約、セキュリティ説明、FAQ、データレジデンシー、リージョン、委託先一覧を確認します。本体ファイルだけでなく、バックアップ、サムネイル、ログ、アカウント情報も対象です。
「AWSなどのクラウドを利用」とだけ書かれていても保存国は分かりません。複数のリージョンがあるため、どのリージョンを使うかを確認します。分からなければサポートへ問い合わせます。
国内・海外を比べる7つの確認点
- 本体ファイルを保存する国・地域
- 運営会社と契約主体の所在地
- バックアップ、ログ、サムネイルの保存先
- 通信中・保存時の暗号化と鍵の管理者
- 関係する国の法制度と契約条件
- 利用目的、第三者提供、AI利用の方針
- 災害・障害に備えた地域分散と復旧方法
保存国が公開されていないだけで直ちに危険とは言えませんが、保存場所を重視する人にとって、説明の明確さも判断材料になります。
SECRET CLOUD
保存場所とデータの利用方針を確認する
シークレットクラウドは、保存ファイルを広告、マーケティング、AI学習、顔認識、趣味嗜好の推定へ利用しない方針です。利用する外部サービスと情報の扱いは、プライバシーポリシーで説明します。
プライバシーポリシーを見るまとめ
データの保存場所は、関係する法制度、通信、災害対策などに影響する重要な情報です。しかし、国内か海外かだけで安全性は決まりません。
本体ファイルとバックアップがどこにあるか、誰が管理するか、どのように暗号化・認証・監視されるか、どんな目的で利用されるかまで確認しましょう。大切なのは「どこに保存されるか」に加えて、「誰が、どのルールと技術で守るか」を知ることです。
参考情報
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
- 個人情報保護委員会「外国にある第三者への提供編」
- 個人情報保護委員会「外国事業者のクラウドとサーバー所在地に関するFAQ」
- デジタル庁「ガバメントクラウド」
法令、ガイドライン、サービスの保存・処理地域は変更される場合があります。利用時点の公式情報を確認してください。